「コープこうべ第九コンサート」で歌ってきました
生活協同組合コープこうべの開催による「コープこうべ第九コンサート」で歌ってきた。昨年12月に大阪城ホールで開催された「サントリー 一万人の第九」(指揮は、佐渡裕さん)以来、ベートーヴェンの「第九」を歌うのは1年ぶりになる。
このコンサートは、コープこうべの生活文化活動の一環として1993年にスタートしたもので、今回の第16回は、西宮市にある兵庫県立芸術文化センターの大ホールで12月14日に開催された。客席はほぼ満席の状態。(写真をクリックすると拡大)
合唱団の公募に応募して抽選に当たった一般市民約260名は、12歳の小学生から89歳まで・・・・と言っても、平均年齢は、一見したところ60代後半だろうか。16回の全てに参加している“皆勤賞”の人も10人を超えているようだ。
初めてドイツ語で歌を歌う人、初めてオーケストラをバックに歌を歌う人、学生時代に合唱団に入って活動をしていた人、あちこちのコンサートで歌っている経験豊富な人など、実力は千差万別。夫婦や親子で参加している人も多い。
「第九」の演奏時間は、最初から最後までは60分あまりだが、合唱の部分はおよそ17分しかない。それを歌うために、8月から、ほぼ週に1回の練習を積み重ねてきた。
合唱団の指導は、ソリストも務める実力派の歌手が交代で務め、毎回の練習内容や注意点などを「連絡ノート」に書いて情報を共有していた。一部の参加者は、別にボイストレーニングにも参加していた。
オケは、誕生して5年目の「交響楽団ひびき」で、平均年齢は20歳代後半くらい? 「第九」を演奏するのは、今回が初めてだから、「コープこうべ第九合唱団」とは初顔合わせとなる。
この演奏会の指揮をしたのは、主に関西のオーケストラの指揮をして活躍している31歳の新進気鋭の高谷光信さん。
合唱団のレベルも、練習を重ねるに従って巧くなってゆく。またオケも練習に力が入り、最初のオケ合わせでは若さと堅さが見られたが、本番前日の最終リハーサルの段階になると、呼吸も合い始めた。
実力のあるオーケストラと合唱団が演奏するのなら、すばらしい演奏会になるのは当然のこと。しかし、“若々しさに溢れたオケ”と“足並みの揃わない合唱団”を併せて300人以上を、整った音楽として仕上げるのは至難の業だ。そこに、指揮者としての手腕が問われるというもの。
私が高谷さんの指揮で歌うのは今回が初めてだが、全員の心をまとめあげ、音楽としての表現力が少しでも高められるように、腕を振り、指先を動かし、表情を変え、口を動かし、身体の隅から隅まで工夫を凝らして指揮をされているのが、壇上からとても良く分かった。「こう歌って欲しいんだ」という気持ちが良く伝わり、我々素人にも、とてもついて行きやすい指揮だった。合唱団の気持ちが、少しずつ引き入れられてゆくのが歌いながらも感じられた。
こうした、目的も、経験も、技量も、年齢も全く異なった混成チームの演奏会では、芸術性の前に、統率性が如何に重要なのかを教えられた。
演奏を終わって振り返ってみると、「少し元気を出しすぎ」の合唱になったような反省もあるが、「元気がない」より「元気すぎ」の方が許されるのが「第九」なのかも知れない。
長年、多くの合唱団で歌い演奏会を聴き続けている「辛口コメント大好き」の知人は今回の演奏会を聴き終えて、「技術的なことを言い出すとキリが無いけど、全体として非常に良く纏まっていたと思うよ。オケと合唱団のバランスも良かったし。楽しかった」と、珍しく褒めてくれた。
「第九」の1週間あとの20日、神戸にある甲南大学の交響楽団定期演奏会を聴きに行った。というのは、その高谷さんが客演指揮をするのと、生誕100年を迎えて注目を集めている「貴志康一」の曲を一度聴いてみたかったからだ。
「第九」では高谷さんの指揮ぶりを前から見て歌ったわけだが、今回は会場から背中を見ながら聴いた。寄り合い所帯で“初心者てんこ盛り”の合唱団とは違って、今回の演奏会では、本来のスタイルで指揮をする高谷さんの幅の広さを見ることが出来た。
また、プロの指揮者として音楽の表現以上に欠かせない、“華”を持った人だなと感じた。
演奏会が終わってホールを出ようとすると後から、「あの指揮者、若いのにいい音を出してたねぇ。こないだの○○フィルより、よっぽどいい音が鳴ってたよな」という声が聞こえてきた。
今人気の波に乗っている佐渡裕さんに続いて、関西を拠点に活躍する若手ホープの指揮者、高谷光信さんの将来に期待したいと思いながら、クリスマスのイルミネーションに輝く三宮駅をあとにした。
(高谷さんのホームページは こちら)


