« インフラ整備に求められる国家観と長期的ビジョン | トップページ | 米国の金融危機の嵐で、中国の高層ビルにも影響が »

2008.11.23

グーグル“ストリートビュー”はセキュリティ、防犯上に課題あり

グーグルが今年(2008年)8月にサービスを始めた「ストリートビュー(SV)」が話題になっている。

このサービスを利用すると、地図、衛星写真、建物の周辺の状況などを対照して見ることが出来るため、会社を訪問するとき、知人に自宅を知らせるときなどは、すこぶる便利だ。
その一方で、「プライバシーを侵害している」「家の中を覗かれて気持ちが悪い」などの声が高まっている。
「“公道”から写した写真なので、法的には問題はない」そうだが、自宅前の道路から見た外観や空から見た画像が、世界中からアクセス出来る状態に一方的に公表していることに道義的問題はないのだろうか?

つまり、表通りから見たマンションの外観、垣根の構造、入口の位置や構造、敷地の中の建物の位置、玄関の位置、物置や離れなどを見ることが出来る。上の階のベランダを拡大して見ることもできるし、窓の位置によっては部屋の中が覗けることもある。駐車場に止められた車の車種が判別出来ることもある。子供用自転車が映っていれば、子供がいると推測出来る。
特に角地にある大きな邸宅の場合は、衛星写真と合わせて見ると、家の外観のかなりの部分が掴める。たとえば、タレントの自宅住所を一覧表にしたサイトがあるが、そこから住所をコピーペースト(いわゆる“コピペ”)して入力するだけで、グーグルアースやグーグルマップなどの衛星写真、地図、ストリートビューを見ることが出来るから、彼らの住んでいる自宅やマンションがピンポイントで映し出される。(←私は、それを奨励しているわけではありませんので誤解のなきように)

東京都町田市議会は10月、国に規制検討を求め、衆議院総務委員会ではプライバシーの侵害や防犯上の問題について質疑が行われた。
また東京都杉並区は、区民からプライバシーの侵害などを心配する声が寄せられたため、グーグルに、プライバシーに配慮するよう申し入れをした。

こうしたストリートビューに関する議論を見ていると、防犯、セキュリティ、危機管理などの観点からの意見が少ないように思う。
日本人は、自分の身を守ることに神経を配ることに慣れていない。長年、治安の優れた平和な国であったためだが、最近は、そうも言えない。犯罪などに、これだけ無防備な国も少ないのではないか。
ちなみに私は以前から、流しのタクシーを拾って自宅に帰る場合は、自宅の前ではなく数十メートル先で下りて、タクシーが走り去るのを確認してから自宅まで歩くことにしている。

このサービスのプライバシーを確保するため、表示される画像のうち、人の顔は自動認識で“ぼかし処理”がされているが、日本では、車のナンバープレートなどは自動処理は行われていない。

心配だからと、ストリートビューの画像を削除して欲しい時は、グーグルに個別に削除を申し入れれば対応をしてくれるという。(具体的には、「ストリートビューヘルプ」から「不適切な画像を報告する」に入って、人の顔や車のナンバープレートなどの画像の削除を依頼する)
たとえば東京都杉並区は、広報紙や区のホームページを通じて、画像を削除する方法を紹介している。
しかし、「自分の家は削除をして欲しいが、向かいの家は今のままにいておいて欲しいと言っている」となった場合はどうなるのだろう。削除を申し入れたことが画面に表示されて、マズいことにはならないのか。「この部分は、お申し出により削除しました」などと画面に表示されれば、かえって目立ってしまう。個人ではなく、町内会の決議として、「○○町は全面的に画像を削除して欲しい」と申請することは出来るのだろうか?

一時期、「個人情報保護法」の議論が盛んだったが、自宅の構造なども個人情報と考えるべきだろう。衛星写真を拡大すれば、おおよその敷地面積、建坪なども推察出来る。外観写真を見れば、集合住宅か一戸建てか、鉄筋か木造か、築何年くらいかなどが推察出来る。車も、高級外車か軽自動車か、台数も分かる。子供の自転車が置いてあるか、塀はコンクリートブロックか植え込みのある石垣かも分かる。
つまり住んでいる人の“暮らし向き”や経済力の一端が推察出来る。

不動産業に関係する方には、便利なサービスだろう。また“泥棒”にとっても、下見の手間が省けるというメリットはありそうだ。
この無料のサービスは、利用する人にとっては実に便利だ。しかし住んでいる当人、映し出された人にとってのメリットは少ない。

「安心して暮らせる町づくり」を目指すためには、ストリートビューが町の治安維持、防犯の点から問題がないのか、今後、議論をしてゆく必要がありそうだ。

|

« インフラ整備に求められる国家観と長期的ビジョン | トップページ | 米国の金融危機の嵐で、中国の高層ビルにも影響が »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« インフラ整備に求められる国家観と長期的ビジョン | トップページ | 米国の金融危機の嵐で、中国の高層ビルにも影響が »